戸塚祥太の「ドラマ」に思いを馳せる
グローブの中のリングとバンダナの下のピアス
幕が下り、思考が一時停止する。
また私は目の前で起きたことを自分の中で整理する。ただ今回は簡単だった。整理なんて要らなかった。隣に座るドヤちゃんと目を合わせつぶやく。
「え…?めっちゃ面白くない…?」
日生劇場、そこには理屈なしにただただ楽しいが広がる空間でした。こんなにも楽しいことある?嘘みたいに面白かってんけど。と、幕が下りた直後の数分間は私の中には楽しい面白いの感情のみ。
席を立ち、喫煙所に向かう中で少しずつ余裕が生まれ、ふつふつと他の感情が沸き上がる。喫煙所に着いた時にはそれらが爆発。もう大興奮っすよ。
劇中、最初はあきとくん淳太くん2人を中心に6人まんべんなく観ていたはずなんですよ。(台風nドリーマーは重岡氏不在)それが気付けば、1人の男の子を必死でオペラグラスで追いかけるようになっていました。
濵ちゃん。
だと思っていました最初彼のことを。すみません。私は顔と名前すら一致しない状態で日生劇場に足を運んだのです。
「ジャニーズWESTの舞台行ってみいへん?チケット譲り出てるみたいやねん」
そう提案したのは私の方でした。もちろんドヤちゃん(DD)は二つ返事で承諾。土曜日のドリボ観劇以外に東京での予定を決めていなかったので、ちょうどいいなと思い提案しただけで、ジャニーズWESTが気になる……ということも全くもってありませんでした。
ここで帝国劇場、日生劇場をはしごするという素晴らしい遠征プランが成立します。(その後この素晴らしい劇場はしごプランは2度行えることとなる)
あきとくん…ごくせん、普通の子
淳太くん…ごくせん、先輩
しげ…真ん中のやたら笑顔の子
流星くん…地元が近い子
のんちゃん…三浦翔平に似てる子
濵ちゃん神ちゃん…その他二人
当時の私の7人の印象を思い出してみましたが。ひどい。ひどすぎる。その他二人って…よくもこんな状態で観劇したな自分…まだ少クラも見ていなかったですし、知ってる曲もええじゃないかぐらいで本当に無知でした。
そんな状態だった私ですが、ストーリーが進むにつれて、一人の男の子が気になりだします。とにかく表情が!豊かで!演技が!細かい!完全に入りきってるんですよね役に。一瞬一瞬がその役。役に隙間がない。そんな彼の演技にどんどん引き込まれていきます。
彼を好きになった理由は演技だけではありません。ショータイムの彼のビジュアルは、それはそれはもう私の好みそのものでした。金髪にあのバンダナは…もう反則でしょう。そんでもって右肩にタトゥーシールですよ。グッズとかでなくて、普通にお洒落でするタトゥーシール。かわいい……
決定的だったのがピアス。もともと私、男性のピアスが大好きなんですけど、劇中、ショータイムの最初は彼ピアスつけてなかったんですよ。それが!ショータイムの途中で!ピアスをつけてきたんですよ!!ショータイムの途中でですよ?!しかも両耳!!ぶらぶらするやつ!!右一つ左二つ!!!!!!!そんなことある?信じられる?まだね、まだ、劇とショータイムの間の休憩でつけるんやったら分かりますよ?それでも感心しますけどね?彼ショータイムの途中でつけてきましたからね?心の中で叫びましたよ
なんじゃこりゃー!!!!!!!って。
私とドヤちゃんの興奮はまだまだ冷めやりません。周りの喫煙者を気にもせず、各々の感想を思いつくまま吐き続けます。
「私、あの子が好き!!あの子なんて子?!」とドヤちゃんに聞く私。ドヤちゃんと私は顔の好みがほっとんど一緒なので(塩顔イケメン)ドヤちゃんは「たぶんそれ濵ちゃんやで!」と教えてくれました。
そこから名前と顔を一致させようとメンバーの名前を連呼する私。
どんどん口をついて出てくる感想の中、噛み合わない点に気付きます。
ん?その子ではないぞ?私の好きな子、その子ではない?
皆さんもう随分前からお気付きだとは思いますが、というか私を知っている人は分かっていることだと思いますが。
濵ちゃんやない!!!!!!!わてが好きなんは、神ちゃんやー!!!!!!!
これが私と神山くんとの出会い。
物理的に近く精神的に遠い
私「昨日のエイトの番組見た?」
友「エイトって関ジャニのこと?」
私「あ、うん!関ジャニ!」
(そうか…一般人は“エイト”とは呼ばず“関ジャニ”と呼ぶのか……)
とどんどん一般人との認識の乖離が大きくなっていきます。今では普通に使っているオタク用語ですが、最初はほんっと分かりませんでした。DD、魂、全ステ、強火、俺足族…(魂と俺足族は未だ使う機会ありませんが)Twitter見てても分からないのでGoogle先生に聞きましたからね。
Kis-My-Journyの振込の時にはまだ“オーラス”という言葉すら知らなかった私。そんな私におじょうは、オーラスの意味、オーラスの倍率の高さ等優しく教えてくれました。おっと、おじょうの紹介がまだでしたね。おじょう(漢字で書くとお嬢)もまたどやちゃんと同じく高校の同級生であり、しかも私とは同じ部活の仲間です。おじょうというあだ名はクラブネーム(クラブ内でのあだ名)でして、当時からハイフンだったおじょうはクラブネームを決める際、先輩からの「好きなものは?」の質問に「亀梨くん!」と答え、10年前、亀梨くん=ごくせん→お嬢となった訳であります。(ほんと何故どやちゃんとおじょうは10年前私に少クラを見せてくれなかったか…)
優しいおじょうはジャニオタ一年生のどうしようもない質問にたくさん答えてくれました。
「なぁなぁ、フォロワーさんがお手紙書くって言ってくれてんねんけど、お手紙ってなに?なに書けばいいの?」
こんなことまで私に聞かれるおじょう。
「なぁなぁ、なんでみんなお菓子配るん?お菓子ぐらい自分で買えるやん?」
いやそういう問題ではない。ほんまおじょうごめん。今ならお手紙もお菓子もめちゃくちゃ嬉しいって知ってるんですけど、最初はジャニオタ文化が理解できませんでした。
「なにもかも引き受けてやろうじゃねえか!」
そうユウタは力強く叫び、私たちの前から姿を消しました。
劇場内が明るくなり、ざわざわする観客。1階前列に向けられる視線。サッと立ち去るSexy Zone。(聡マリちゃんがこそこそ笑顔で話しながら扉に向かう姿を見てここは天国かなと錯覚)
さっきまでステージ上で起きていたこと、ステージ上だけじゃない、目の前の宙で起きていたこと、それらを自分の中で消化させるために私は必死になって頭を回転させます。でもどうしても出来ないんですよ分からないんですよ玉森くん美しすぎるしストーリー展開早すぎるしで全然追いつかない。ユウタよ…DREAM BOYSが私の中にストンと落ちるように何とかしてくれよ…何もかも引き受けてくれんだろ…そんな勝手なことを一人思いながら第二幕の幕が上がります。
私にとって初めてのDREAM BOYSが終わり、私の中で一つの“もしかして”が生まれます。もしかして…もしかしてこれはストーリーどうこうの問題ではないのでは…?宙を飛び、回り、壁を歩き、歌い踊る、魅せるもの、それがDREAM BOYS?それがジャニーズエンターテイメント…?
DREAM BOYS、ジャニーズ舞台を一度たりとも観たことがなかった私。ドリボ観劇が決まった時、優しいおじょうは「ドリボのDVD貸してあげよかなと思ってんけど、前のは観ないでユウタから知るのもアリやね」と言ってくれました。私はさらにDREAM BOYSのストーリー等もわざと見ず当日を迎えました。ストーリーぐらい入れておけばよかった。そうすればこんなにも頭上に“?”浮かべずに済んだ。心臓を?あげるの?……これがジャニーズの舞台なのか。と少しだけ胸のここらへんにフワッとした違和感が生まれます。まぁそれはそれで“今は”置いといて。
玉森くん1分1秒全てのお顔がかわいいんですよね。天使も妖精も王子様も未だ見たことはありませんが、たぶんこんな感じなんだろうな、って。私この前のブログで、ドームで見た玉森くんは同い年のお仕事する男の子でしたって書いたんですよ。でも劇場で見る玉森くんはとてもじゃないですけど、同じ時代に生を享けた24歳男性には思えなくて……ねぇ、玉森くんもおジャ魔女どれみ見てた?ポケモン赤青緑して中学生の時オレンジレンジ聴いてた?175RとかHYとか流行ってた?MDウォークマンカシャって開けてカシャって閉じるの快感じゃなかった?(すみません話がそれました)
DREAM BOYSというジャニーズの先輩方がずっと魅せてきた舞台を引き受けた座長玉森裕太は、遠い遠い夜空に一つ輝くお星さまのようで……もしかしたらアイドルというものは物理的距離が近くなればなるほど精神的距離は遠くなるのかもしれない。
初DREAM BOYSの余韻は翌日になってももちろん冷めることはなく、そんな状態のまま、私は日生劇場へと足を運びます。そう、そこで私は台風に襲われてしまうのです。
みんなのOnly One
“恋”という字は“変”という字に似ている。
随分昔のドラマで主人公の女の子が言っていた台詞だが、そのドラマのストーリー、キャスト等全く覚えていないのにこの台詞だけはずっと頭に残っている。確かそのあと、「人は恋をすると変になるらしい」と台詞は続く。
恋をした訳でもない私ですが、とてつもなく遠くてほんの少しだけ近い彼らに大きく変えられてしまいました。読みかけの文庫本は毎月出るアイドル雑誌に、聴いていた音楽はオリコン1位に輝く曲に、観ていた映画は初回盤に付くDVDに変わりました。
今でも 実家暮らしで、しかも家にいる大半の時間をリビングで過ごす私の変化に、家族は早い段階で気付いていたと思います。(リビングのテレビでスノド観てたらそりゃ気付くわな) ただ、一緒に住んでいない姉だけは違いました。久しぶりに実家に帰ってきた姉は、私宛てに届いたKis-My-Ft2の会報を目にし、妹が突如としてジャニオタになったことを知ります。そこで一言。
勝ち組の敗因
堕ちたら一瞬でしたね。最初はネットで動画を漁りTwitterでワード検索するだけでした。まぁ気付いたらFCに入ってジャニオタのアカウント作ってましたけど☆
アイドル誌なんて自分には一生無関係だと思ってたんですよ。初めてアイドル誌を購入した時、今まで何度も利用してた本屋さんだったのに、その時初めてポイントカードの作成を勧められましたからね。あっ、私、ジャニオタなんだ♡って、その時改めて実感しましたよ。
勝ち組なのか負け組なのか、まぁそんなことは置いといて、社会人2年目の私は、新しい出会い等なくトキメキを欲していたんだと思います。そんなカラカラな私に突如と現れたキスブサという名のオアシス。これが私がジャニオタになった一番の敗因だと思います。
「いや、アイドルは応援するものだから。」
AKBオタの友達に「好きな女の子のタイプってやっぱり推してる子?」と馬鹿な質問をした時の友達の答えです。そのあまりにも当たり前な答えに、正直ハッとさせられました。
2014年ジャニオタ1年生の私は、キスマイジャーニー、ドリームボーイズ、台風nドリーマーと幸せなことに現場が続きます。これらの現場を経験した私に、早くも大きな心境の変化が生じます。スノドDVDを購入した時見てもなかったジュニアたち。今では名前まで言えるようになりました。次では、そんな私のジャニオタとしての成長も記せたらと思っています。
ここまで読んでくださって本当に有難うございます!!!!!!!
おわりのはじまり
ほら、よくあるじゃないですか、少女漫画とかで。雷に撃たれたような衝撃?みたいな。
ハチクロで、竹本くんが絵を描くはぐちゃんの姿を見て恋に落ちた瞬間、隣にいた真山はこう言っています。「人が恋に落ちた瞬間を初めて見た」と。もしその時私の横に真山がいたとしたら、テレビに釘付けになる私を見て、同じことを言ったんじゃないかと思う。
はじめまして
大人になってからジャニーズアイドルという夢と現の狭間のような彼らと出会い、現在進行形で底の見えぬ沼にずぼずぼと沈んでいってるジャニオタ2年生です。今までの人生で通ってこなかった道に戸惑いながらも、ものすごい勢いで沼に沈んでいく様を綴っていきたいと思っております。まずは、社会人2年目24歳で突如としてジャニオタになった経緯から始めたいと思っておりますので、読んでいただけたら幸いです。